借地権付きアパートの投資について考えてみたいと思います。
借地権付きアパートとは、借りた土地(借地)の上に、自前の建物(アパート)が建っている不動産のことをいいます。
土地は借り物ですので、借地人であるアパートの持ち主は土地の持ち主である地主に借地料を支払います。
ちょっと特殊な物件ですが、投資として考えた場合は、どういったメリット、デメリットがあるのか、また最終的には投資すべきかを検討してみたいと思います。
旧法借地権(借地のほとんどは旧法借地権です。詳細は旧法借地権で検索して頂ければと思います。)を前提に話を進めたいと思います。
(借地権付きアパートのメリット)
まずは、借地権付きアパートのメリットから見ていきたいと思います。
・最初に用意するお金が少なく済む 底地部分の金額がないため、初期のお金が少なく済みます。
・投資利回りが高い 上記にも絡みますが、初期の投資額が少ないため、利回りは高くなることが多いです。
・土地に関するお金が経費になる 土地の購入代金は経費になりません(土地は減価償却できません)が、地代は経費になります。
・キャッシュフローが良い 当初必要な資金が少なく、地代も経費になるため、税引後で考えたキャッシュフローが良いです。
・土地がないため不動産取得税、登録免許税が建物にしかかからず、中古の建物の場合、建物の評価額も低いため、税金が安くすむ。
(借地権付きアパートのデメリット)
次に借地権付きアパートのデメリットを見ていきたいと思います。
・地代の支払いが発生する(都内の場合 坪あたり600円から1300円くらいが多いです。その代わり、土地の固定資産税は地主さん負担のため掛かりません。)。
・更新料が発生する。 通常20年に一度、更新料を地主さんに支払う必要があります。契約書に記載がなければ払わなくても良いという方もいらっしゃいますが、個人的には色々なことがスムーズに進むことが多いので、払っておいた方が良いと思っています。
・建替承諾料が発生する。建物を建て替える際に、地主さんに、承諾料を支払う必要があります。
・譲渡承諾料が発生する。借地権付きアパートを譲渡する際に、売主である借地人は、地主さんに譲渡承諾料を支払う必要があります。
・完全所有権の物件に比べて売りづらい
・銀行の評価が低い
・融資が受けづらい
・いつまでたっても土地(底地)が自分のものにならない。
・自分の土地ではないため、土地が絡む取引については地主さんの承諾が必要なことが多く、手間がかかる。
(まとめ)
メリットは圧倒的に資金繰りが良い事です。現在売りに出ている物件で、世田谷区の駅徒歩3分 築30年 1億円のアパートがありました。この物件の表面利回りは9%です。
1億円を20年元利均等で返済することを考えると、金利1.2%で月額47万円の支払いです。一方収入は月額75万円なので、地代、修繕費を引いたとしても、手元にお金が残る可能性は高いです。
一方で、一般的な投資物件で利回り5%のものだと20年で返済すると、100% キャッシュフローが赤字になります。理由は単純で、支払い1億円÷240カ月=416,666円と 収入1億円×5%÷12カ月=416,666円 とが同額になるためです。経費と土地に対する税金が持ち出しになってしまいます。
このようにキャッシュフローの良さは大きなメリットです。
デメリットは、融資が付きづらいこと、売りづらいこと。売らなくても良い状況であれば、大きなデメリットはなくなります。本当に良い場所だったら、売る必要ありますか?
ある程度、手元資金に余裕がある場合は、投資先として検討する価値はあるのではないでしょうか。